「高齢になってきたので財産の管理を信頼できる子供に任せたい」

「遺言では実現できない、柔軟な資産継承がしたい」

そんな思いを叶えることができるのが家族信託です。

今回は、家族信託の活用方法と仕組みについてお届けします。

1.家族信託の活用方法

家族信託では、自分の老後や、介護等に必要な資金の管理、保有する不動産や預貯金などを、信頼できる家族や親族に託し、管理・処分を任せることができます。

家族信託の登場人物は「委託者」「受託者」「受益者」の3人です。

さらに財産の管理がより円滑に行われるように「信託監督人」「受益者代理人」を加えるケースもあります。

例えば、資産を預けるお父様が「委託者」、お父様の資産を管理する息子さんが「受託者」、預けた資産から利益を受けるお父様が「受益者」となります。

今、家族信託が注目されているのは、超高齢社会である日本において、病気のリスクに事前に備えようという動きが活発化しているからです。

2015年に厚生労働省が発表した推計によれば、2025年には認知症患者は約700万人に上り、65歳以上の実に5人に1人が認知症という世の中になると言われています。

認知症や脳梗塞などで本人の判断能力が低下すると、銀行口座が凍結されるなどの困った事態が起こり得ます。

脳梗塞など突然発症する病気や認知症発症前、つまり、元気なうちに家族信託契約を締結しておくと、信託契約の時から、受託者に資産の管理を任せることができ、健康な間に資産を承継できるという安心感があります。

2.信託財産

信託財産として代表的なものは、不動産、預貯金などの金銭資産、株などです。

不動産は所有権を受託者に移転し、受託者名義とします。

その不動産が収益物件であれば、受託者が管理し、その不動産から生ずる収益は、受益者が得ることになります。

金銭資産は、受託者名義の「信託口座」を新たに開設します。

その信託口座に預貯金などの金銭資産を移動します。

委託者には、信託口座に移した金銭資産の中から、家族信託契約で決められた金額を支払います。

株を信託財産とした場合には、株主としての権利の行使は受託者がおこないます。

ただし、家族信託契約条項で、委託者に「指図権」を残すことで、委託者は受託者に対し、各議案の賛否について指示することが可能になります。

3.家族信託を行うメリット

家族信託には複数のメリットがあります。

今回は、安全な財産管理と、遺言代用として使い方を解説します。

ひとつ目のメリットとして挙げられるのが、高齢になった親の財産管理を安全に行えるという点です。

例えば、父親名義の財産を、長男に移し、安全に管理したい場合です。

この場合には、父親が「委託者兼受益者」となり、長男が「受託者」となる家族信託契約を結びます。

家族信託契約を結ぶことで、老後の資産管理は安心して長男に任せられます。

また、高齢の父親が有する預貯金など金銭資産を、受託者名義の信託口座に移すことで、詐欺被害への対策も可能です。

もう一点のメリットは家族信託契約は遺言書の代わりとして利用できる点が挙げられます。

ご高齢の方からは、しばしば「遺言を書こうとは思うが、書き方がわからない」という相談をいただきます。

遺言は、作成方法が厳格に決められているため、遺言書を書くのが面倒だと感じられるようです。

その点、家族信託は、委託者と受託者の「契約」です。

遺言書の方式に従う必要はありません。

自分の死後、相続が発生した場合の財産の承継方法や小径車を、明確にしておくことが可能なのです。

いかがでしたか? 家族信託を適切に活用すれば、安全に財産を管理し、円滑な資産の承継が可能になると考えられます。

家族信託についてのご相談は、お気軽に、勝どきの岡田行政書士事務所までお問い合わせください。