外国人労働者の受け入れ拡大へ、4月に導入する新たな在留資格「特定技能」。

今回は「宿泊分野」における、特定技能1号の運用方針についてわかりやすくご紹介します。

宿泊業界が抱える人手不足問題

人手不足。多くの業界において、喫緊の問題となっています。
宿泊業においても他業界同様、人材の確保が難しいという現状があります。

現時点で既に、およそ3万人の人手不足が生じているものと推計されており、今後の訪日外国人旅行者の増加に伴い、5年後(平成35年)までに 全国で10万人程度の人手不足が生じると見込まれています。

このような状況を前に、宿泊分野において、外国人材の受け入れを拡大し、外国人を雇用しやすくするため「特定技能1号」の在留資格確が設けられます。

特定技能1号という在留資格(ビザ)で何が変わるの?

この特定技能1号という在留資格(ビザ)を日本で働きたい外国人が取得すると、彼らは日本のホテルや旅館などで働くことが可能となります。

つまり、日本でホテルや旅館を経営する経営者のみなさんは、特定技能1号の在留資格を持った外国人を雇うことができるのです。

特定技能1号の在留資格が導入されることで、日本語学校を卒業した留学生や、宿泊分野とは関係のない分野を専攻した専門学校生も、特定技能試験を受けて合格し、在留資格を得ることで、ホテルの社員として働くことができるようになるのです。

外国人が従事できる業務

ただし、この特定技能1号の在留資格を取得した外国人は、従事する業務が、以下のように決められています。

・フロント

・企画・広報

・接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの 提供に係る業務

に限定されています。つまり、ホテルの清掃員やベッドメイキングのスタッフなどとして雇用することはできないということですね。

ホテル・旅館側にも条件

また、特定技能1号在留資格を取得した外国人を雇う側についても、以下の通り条件が設けられています。

◾️旅館・ホテル営業の形態かつ以下の条件を満たすこと

・ 旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること

・ 風俗営業法に規定する「施設」に該当しないこと

・ 特定技能外国人に対して風俗営業法に規定する「接待」を行わせな いこと

◾️国土交通省が設置する協議会の構成員となり、協議会に対し、必要 な協力を行うこと。

◾️ 国土交通省等が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。

となっています。

さらに、彼らを雇う形態は直接雇用のみ。派遣形態は認められていません。

技能試験について

最後に、外国人が特定技能1号の在留資格を得るために受ける技能試験についてです。

一般社団法人宿泊業技能試験センター が実施主体となり、年2回行われる予定です。
この試験においては

「ホテルなどでのフロント業務や、企画・広報、接客及びレストランサービス等の様々な業務に係る技能・知識を確認し、試験に合格することによって、即戦力となるために必要な知識や経験を有すると認める」

としています。

ただし、その技能のレベルを測る具体的な測定方法などは、現時点では明らかにされておりません。

4月から導入される、特定技能1号の在留資格。

人手不足に悩む、旅館、ホテル経営者の方々が注目されている中、上記のように、まだ不明な点は多いといえます。

弊所では、外国人を積極的に採用していきたい経営者のみなさまに向けて、随時新しい情報を公開して参ります。